「フジロック中止しろ」という強い言葉で検索したあなたは、おそらくこの日本を代表する音楽フェスティバルに対して、何らかの疑問や不満、あるいは強い懸念を抱いていることでしょう。その背景には、過去の開催がネットで炎上した理由や、特に記憶に新しい運営のコロナ対策が招いた批判があるのかもしれません。
この記事では、そうした声が上がる根本的な原因を探るため、多角的な視点から情報を整理します。フジロックの歴代場所と変遷をたどり、なぜ現在の会場が苗場になった理由を解説し、主催者が両足を骨折した壮絶な過去といった知られざる歴史にも触れていきます。また、日本で1番でかいフェスは本当かという規模の問題から、過去に一度だけ中止になった年の事実、そして根強く聞かれる「出演者がしょぼい」という批判の真相にも迫ります。
さらに、未来に目を向け、2025年のチケット販売状況や、多くの人が心待ちにしている2025アーティストタイムテーブルはいつ発表されるのかといった最新情報も交えながら、フジロックが抱える課題と魅力を公平に解き明かしていきます。
この記事を通じて、あなたが抱く「フジロック中止しろ」という思いの背景にあるものを深く理解し、改めてこのフェスティバルについて考えるための、客観的な判断材料を提供します。
記事のポイント
- フジロックの歴史と「中止しろ」という声が上がる背景
- 過去の具体的な騒動や運営上の課題
- 2025年の開催に向けた最新情報と現状
- 様々な論点を踏まえた上での総合的な考察
「フジロック中止しろ」過去の騒動と歴史的背景
日本で1番でかいフェスは本当か
- フジロックの歴代場所と変遷
- 会場が苗場になった理由を解説
- 主催者が両足を骨折した壮絶な過去
- 過去に一度だけ中止になった年
- 「出演者がしょぼい」という批判
日本で1番でかいフェスは本当か
「フジロックは日本最大級のフェス」とよく言われますが、これは本当なのでしょうか。規模を客観的に見るために、コロナ禍前の平常開催だった2019年の主な国内大型フェスの動員数を見てみましょう。
フェスティバル名 | 開催日数 | 2019年動員数(延べ人数) |
---|---|---|
ROCK IN JAPAN FESTIVAL | 5日間 | 約33万7千人 |
FUJI ROCK FESTIVAL | 3日間 | 約13万人 |
SUMMER SONIC | 3日間 | 約30万人(20周年特別開催) |
このように数字を見ると、ROCK IN JAPAN FESTIVALが動員数では大きく上回っています。ただし、フジロックの独自性は単純な動員数だけでは測れません。広大な苗場の自然を活かした会場面積、海外アーティストの比率の高さ、そしてキャンプサイトを利用する宿泊型フェスというスタイルが、他の都市型フェスとは一線を画す特徴となっています。
したがって、「動員数で日本一」とは言えませんが、「日本を代表する最大級のアウトドア音楽フェスティバル」という評価は、その唯一無二の存在感から的を射ていると考えられます。
フジロックの歴代場所と変遷
フジロックの歴史は、その開催場所の変遷と切り離せません。それぞれの場所での経験が、現在のフジロックの姿を形作ってきました。
#### 第1回(1997年):山梨県・富士天神山スキー場
記念すべき第1回は、その名の通り富士山を望む山梨県で開催されました。しかし、台風の直撃に見舞われ、2日間の予定がわずか1日で中止に追い込まれます。豪雨と寒さで低体温症になる参加者が続出し、日本の野外フェス黎明期における準備不足を露呈する形となりました。この壮絶な経験は「フジロックの洗礼」として今も語り継がれています。
#### 第2回(1998年):東京都・東京ベイサイドスクエア(豊洲)
前年の反省から、アクセスが良くインフラの整った都市型の会場、豊洲が選ばれました。天候の問題はクリアできたものの、今度はステージ前に観客が密集しすぎるという新たな問題が発生します。特に一部のステージでは、危険なほどの密集状態でライブが何度も中断される事態となりました。自然の中での開催という当初の理念と、都市型開催の現実とのギャップが浮き彫りになった年です。
#### 第3回(1999年)以降:新潟県・苗場スキー場
そして1999年、フジロックはようやく安住の地、苗場にたどり着きます。広大な敷地、複数のステージを設営できる柔軟性、そして周辺の宿泊施設のキャパシティが、フジロックが理想とするフェスの形を実現させました。ここから、フジロックは苗場の自然と共に成長していくことになります。
会場が苗場になった理由を解説
第1回と第2回の経験を経て、フジロックが苗場を選んだのには明確な理由があります。それは、過去2年間の課題をすべて解決できるポテンシャルを秘めていたからです。
主な理由として、以下の3点が挙げられます。
苗場スキー場は、複数の大型ステージを余裕をもって配置できる広大な土地を持っています。これにより、豊洲で問題となった観客の過度な密集を緩和できました。また、森や川といった豊かな自然は、フジロックが目指す「自然と音楽の共生」というコンセプトを実現する上で最高の舞台でした。
宿泊施設のキャパシティ
苗場プリンスホテルをはじめ、周辺には多くの宿泊施設が存在します。これにより、数万人の参加者が宿泊しながら数日間にわたってフェスを楽しむという、日本では前例のなかった大規模な滞在型フェスティバルの開催が可能になりました。
インフラと運営ノウハウ
スキーリゾートとして長年の実績がある苗場は、大人数を収容するための基本的なインフラが整っていました。主催者であるSMASHは、リゾート側の運営ノウハウを活用することで、より安全で快適なフェス環境を構築できると考えたのです。
これらの理由から苗場は選ばれ、以後20年以上にわたってフジロックの象徴的な場所となっています。
主催者が両足を骨折した壮絶な過去
フジロックの歴史を語る上で欠かせないのが、主催者である株式会社スマッシュの代表、日高正人(通称:大将)氏の存在です。特に、彼の不屈の精神を象徴するエピソードが、2004年の「両足骨折事件」です。
この年のフジロック開催直前、日高氏は事故で両足を骨折するという重傷を負いました。通常であれば安静が必要な状態ですが、彼は「俺がいなくてどうする」と、両足にギプスをはめたまま車椅子に乗り、苗場の会場に現れました。
そして、広大な会場を車椅子で移動しながら、現場の隅々にまで目を光らせ、スタッフに指示を出し続けたのです。この姿は多くの関係者や参加者に衝撃を与え、「フジロックの魂」を体現するものとして伝説になりました。このエピソードは、フジロックが単なる音楽イベントではなく、主催者の強烈な情熱と覚悟によって支えられていることを示しています。
過去に一度だけ中止になった年
長い歴史を持つフジロックですが、開催そのものが完全になくなったのは、後にも先にも一度だけです。それは、世界中が未曾有の事態に見舞われた2020年のことでした。
原因は、言うまでもなく新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なパンデミックです。国内外のアーティストや観客、スタッフの安全確保が不可能であると判断され、開催延期ではなく完全な「中止」という苦渋の決断が下されました。
これは、第1回の台風直撃でも1日は開催されたフジロックにとって、史上初めての出来事でした。この中止は、多くのファンに衝撃と悲しみを与えると同時に、フジロックがいかに大きな存在であるかを再認識させる機会にもなりました。そして、この経験が翌2021年の開催をめぐる議論に大きな影響を与えることになります。
「出演者がしょぼい」という批判
毎年のように、ラインナップ発表の時期になるとSNSなどで聞かれるのが「今年の出演者はしょぼい」という批判です。特に、長年のファンからこうした声が上がることが少なくありません。
この批判が起こる背景には、いくつかの要因が考えられます。
一つは、ファンの期待値の高さです。過去にはレディオヘッド、オアシス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズといった世界的なビッグネームがヘッドライナーを務めてきました。そのため、往年のラインナップと比較して見劣りすると感じるファンがいるのは自然なことかもしれません。
また、フジロックの選考基準の多様性も関係しています。フジロックは単に知名度や人気だけでアーティストを選ぶのではなく、音楽的な新しさや多様性を重視する傾向があります。そのため、一般的な知名度は低くても、音楽ファンの間で評価の高いアーティストや、これからブレイクが期待される新人が数多くラインナップされます。これが、一部のファンにとっては「知らないアーティストばかりでしょぼい」という印象につながることがあります。
もちろん、年によってラインナップに濃淡があることは事実ですが、この批判はフジロックが常に新しい音楽を紹介しようとする姿勢の裏返しでもあると言えるかもしれません。
2025年も「フジロック中止しろ」の声は続くのか
- 2025年のチケット販売状況
- 2025アーティストタイムテーブルはいつ発表?
- 過去の開催がネットで炎上した理由
- 運営のコロナ対策が招いた批判
- まとめ:「フジロック中止しろ」の声を考える
2025年のチケット販売状況
2025年のフジロックフェスティバルは、7月25日(金)から27日(日)までの3日間、新潟県苗場スキー場で開催される予定です。
チケット販売は段階的に行われており、早期割引チケットである「3日通し券」は、例年通り早い段階で完売しています。その後、一般発売が開始され、各券種の販売が進められています。2025年7月時点の公式情報によると、特に人気の高い「土曜日1日券」も完売しており、開催に向けて期待が高まっていることがうかがえます。
一方で、開催が近づくにつれて、SNSなどでは再び開催の是非を問う声や、「中止しろ」といった意見も散見されるようになります。これは、特に2021年の開催をめぐる騒動の記憶が、いまだに多くの人の中に残っていることが影響していると考えられます。
2025アーティストタイムテーブルはいつ発表?
フジロックのアーティストおよびタイムテーブルは、一度にすべてが発表されるわけではなく、開催年の初頭から夏にかけて複数回にわたって段階的に発表されるのが通例です。
2025年に関しても、2月頃の第1弾ラインナップ発表を皮切りに、数々のアーティストがアナウンスされてきました。そして、2025年7月上旬には最終ラインナップと待望のタイムテーブルが公開されました。これにより、参加予定者はどのステージでどのアーティストを観るか、具体的な計画を立てる段階に入っています。
タイムテーブルが発表されると、ファンの間では「この時間帯の裏番組が豪華すぎる」といった嬉しい悲鳴が上がるのが恒例です。しかし同時に、ラインナップの全体像が確定することで、改めて開催内容に対する様々な意見が交わされる時期でもあります。
過去の開催がネットで炎上した理由
「フジロック中止しろ」という声が特に大きくなったのは、2021年の開催時です。この年は、まさに「炎上」と呼べる状況でした。その主な理由を振り返ってみましょう。
最大の要因は、新型コロナウイルスの感染が全国的に再拡大し、開催地である新潟県を含む多くの地域で医療体制が逼迫していたことです。緊急事態宣言が発令される中での数万人規模のイベント開催に対して、社会的な批判が集中しました。
特に、開催直前に新潟の医療関係者から「今はやめるべきだ」という悲痛な声が上がったことは、世論に大きな影響を与えました。これに対し、一部の出演アーティストが政府批判ともとれるメッセージを発信したことも、火に油を注ぐ結果となります。主催者の姿勢や判断を疑問視する声が、音楽ファン以外からも多数寄せられ、ワイドショーなどで連日取り上げられる社会問題へと発展しました。
運営のコロナ対策が招いた批判
2021年の炎上において、運営側の感染対策の不備を指摘する声も大きな要因となりました。主催者側は「万全の対策」をアピールしていましたが、その内容が批判の的となったのです。
具体的には、以下のような点が問題視されました。
観客の検査体制: 出演者やスタッフは全員PCR検査が義務付けられた一方、数万人にのぼる一般の参加者に対しては、事前の抗原検査は「希望者のみ」であり、義務ではありませんでした。この対応の甘さが「ザルだ」と厳しく批判されました。
会場内の密集: 「大声禁止」「ソーシャルディスタンスの確保」といったルールが設けられましたが、実際の会場ではステージ前に観客が密集している写真がSNSで多数拡散されました。参加者の自主性に任せた対策の限界が露呈し、「ルールが守られていない」という批判につながりました。
政府からの補助金: この開催には、経済産業省からイベント支援として多額の補助金が交付されていました。公的な支援を受けながら社会的な要請に応えていないという見方が、批判をさらに強める一因となりました。
これらの批判は、フジロックが掲げる「世界一クリーンなフェス」という理念との矛盾を浮き彫りにし、多くの人々の信頼を損なう結果を招きました。
まとめ:「フジロック中止しろ」の声を考える
これまで見てきたように、「フジロック中止しろ」という声は、様々な歴史的背景、社会情勢、そして運営の課題が複雑に絡み合って生まれています。この記事で解説したポイントを、最後にまとめてみましょう。
ポイント
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フジロックは動員数日本一ではないが、日本最大級のアウトドアフェスである
第1回は台風で中止、第2回は都市開催で密集と、初期は苦難の連続だった
広大な自然と宿泊施設を求めて、1999年から苗場が開催地となった
主催者の日高氏は、両足を骨折しても車椅子で現場指揮を執った情熱を持つ
歴史上、完全に開催が中止されたのはコロナ禍の2020年だけである
「出演者がしょぼい」という批判は、ファンの高い期待と選考基準の多様性が背景にある
2025年のチケットは3日通し券や土曜1日券が完売するなど人気は健在
2025年のタイムテーブルは2025年7月上旬に最終版が発表済みである
「中止しろ」の声が最大化したのは、コロナ禍で強行開催された2021年
2021年は医療体制の逼迫や社会情勢を無視した開催として炎上した
当時の運営のコロナ対策は、検査体制の甘さや会場の密集が問題視された
参加者の自主性に頼る対策では不十分だったという批判が相次いだ
政府補助金を受けながらの開催だったことも、批判を大きくする一因となった
フジロックは音楽ファンにとって特別な場だが、社会的な責任も問われる存在である
今後の開催においても、過去の教訓をどう活かしていくかが注目される